安いプリンターは本当にお得?インクジェット・レーザープリンターと複合機を総コストで比較
オフィスの印刷機器を検討するとき、よく比較されるのが次の選択肢です。
- 本体価格の安いインクジェットプリンター
- 卓上型のレーザープリンター
- カウンター保守契約付きの業務用複合機
本体価格だけを比較すると、プリンターの方が圧倒的に安く見えることがあります。そのため、「印刷できるなら安いプリンターで十分」と判断されることも少なくありません。
しかし、業務で継続的に使用する場合は、本体価格だけでなく、インク・トナー代、交換部品、修理費用、故障中の業務停止まで含めた総コストで比較することが大切です。
プリンターと複合機の主な違い
ここでいう「プリンター」は、家電量販店やインターネット通販などでも購入できる小型のインクジェットプリンターやレーザープリンターを想定しています。
一方の「複合機」は、コピー、プリント、スキャン、FAXなどを一台にまとめた、オフィス向けの業務用機器です。
| 比較項目 | 小型プリンター | 業務用複合機 |
|---|---|---|
| 本体価格 | 比較的安い | 比較的高い |
| 消耗品 | インク・トナーを購入 | カウンター料金に含まれる契約が一般的 |
| 保守 | 持ち込み・引き取り・センドバックが中心 | 契約により技術員が訪問 |
| 修理中の対応 | 使用できない期間が発生しやすい | 訪問修理や部品交換を受けやすい |
| 印刷速度 | 小~中量印刷向け | 連続・大量印刷向け |
| 用紙対応 | A4中心の機種が多い | A3や複数給紙に対応 |
| 機能 | 機種によって限定的 | コピー・FAX・スキャンなどを集約 |
| コスト管理 | 消耗品購入のたびに変動 | 1枚単位で把握しやすい |
※プリンターにも訪問保守付きの機種やカウンター契約型サービスがあり、複合機の保守内容も契約によって異なります。
本体が安くても、インクやトナー代は別にかかる
小型プリンターの最大の魅力は、導入時の本体価格を抑えやすいことです。
ただし、本体を購入した後は、インクカートリッジやトナーカートリッジを継続的に購入する必要があります。
そのため、次のような印刷が多い会社では、想定以上に消耗品費がかかることがあります。
- 写真や画像を大きく配置した資料
- 背景色の入ったチラシ
- カラー面積の広い提案書
- グラフや図版を多用した報告書
- ロゴや色付きの表が毎ページに入る資料
「印刷可能枚数」は一定条件で測定された数値
インクやトナーのパッケージには、「約○○枚印刷可能」といった目安が記載されています。
しかし、この枚数は、どのような原稿を印刷しても同じになるわけではありません。
一般的な印刷可能枚数や印刷コストは、ISO規格で定められた標準的なテスト画像と測定方法を使って算出されています。実際の印刷枚数は、印刷内容、用紙サイズ、印刷設定、電源の使用状況などによって変わります。
つまり、写真や背景色など、用紙に色が載る面積、いわゆる「ベタ率」が高い原稿を多く印刷すると、インクやトナーの消費量も増えます。
本体価格は安くても、消耗品を短期間で何度も交換することになれば、数年間の総コストは大きくなる可能性があります。
カウンター契約なら印刷コストを把握しやすい
業務用複合機では、実際に印刷した枚数に応じて料金を支払う「カウンター保守契約」が一般的です。
例えば、次のように設定されます。
- モノクロ1枚あたり○円
- カラー1枚あたり○円
- 毎月の最低利用料金
- A3や両面印刷のカウント方法
カウンター料金には、一般的にトナー供給、定期的な点検、故障時の技術対応、契約対象となる部品の交換などが含まれます。
「トナーが無料」と説明されることもありますが、正確には、トナー代をその都度購入するのではなく、カウンター料金の中に含めて支払う仕組みです。
キヤノンのオフィス向け複合機の保守サービスでも、使用枚数に応じた料金に、サービス技術料、トナー、ドラム、消耗部品代などが含まれる契約が案内されています。
ベタ率が高い原稿でも料金を予測しやすい
一般的なカウンター契約では、印刷する画像の面積ではなく、モノクロ・カラーの印刷枚数によって料金が決まります。
そのため、カラー写真や背景色を多く使った資料でも、契約で定められた1枚あたりの料金で計算しやすくなります。
これは、次のような会社にとって大きなメリットです。
- カラーの提案書を頻繁に印刷する
- 不動産資料や商品カタログを出力する
- 写真入りの求人票やチラシを作成する
- 部署ごとの印刷コストを管理したい
- 毎月の印刷費をある程度一定にしたい
ただし、用紙代、ホチキス針、特殊用紙などは、カウンター料金に含まれないのが一般的です。また、契約内容によって対象範囲が異なるため、事前確認が必要です。
故障時の対応方法にも大きな違いがある
本体価格と同じくらい重要なのが、故障したときの対応です。
小型プリンターでは、故障した機器をメーカーや修理拠点へ送るセンドバック修理や、販売店への持ち込み修理が基本となる製品が多くあります。
修理期間中は、そのプリンターを使用できません。代替機がなければ、印刷、スキャン、FAXなどの業務が止まる可能性があります。
一方、保守契約を締結した業務用複合機では、故障時にサービス担当者が訪問し、その場で点検や修理、部品交換を行うオンサイト対応が一般的です。
複合機は本体価格だけを見ると高く感じられますが、故障時の訪問対応まで含めて、業務を止めにくくするための機器ともいえます。
「修理費」だけでなく「止まった時間」もコスト
印刷機器が故障したときに発生するのは、修理代だけではありません。
- 修理依頼や梱包、発送にかかる時間
- 交換用インクやトナーを探して注文する時間
- 別の場所へ印刷しに行く時間
- FAXやスキャンが使えないことによる業務の遅れ
- 社員がトラブル対応に費やす人件費
- 納期の遅れや顧客対応への影響
これらも会社にとっては見えにくいコストです。
数千円の価格差だけで機器を選んでも、故障や消耗品切れによって社員が何時間も対応することになれば、結果的に高くつく可能性があります。
プリンターにもカウンター保守付きの製品はある
すべてのプリンターがセンドバック保守というわけではありません。
法人向けレーザープリンターやビジネスプリンターの中には、トナー、定期交換部品、保守サービスを1枚あたりの料金にまとめたサービスもあります。
実際にリコーでは、プリンター向けに定期交換部品、トナー、保守サービス料金をカウンター方式で支払うサービスが用意されています。
そのため、比較する際は「プリンターか複合機か」という名称だけでなく、次の項目まで確認することが重要です。
- 消耗品代が含まれているか
- 訪問保守を受けられるか
- 修理時の部品代が含まれているか
- 保守対応地域と受付時間
- 月間の推奨印刷枚数
- 機器の耐久枚数
- 代替機対応の有無
小型プリンターが向いている会社
次のような使い方であれば、小型プリンターの方が合理的な場合があります。
- 月に数十枚程度しか印刷しない
- A4書類しか使用しない
- コピーやFAXをほとんど使わない
- 本体を置くスペースが限られている
- 故障時に別のプリンターを使える
- 写真印刷など、特定の用途だけに使用する
- まずは導入費用を抑えたい
印刷枚数が少ない場合は、複合機の保守契約やリース料金より、必要なときだけインクやトナーを購入する方が安くなる可能性があります。
業務用複合機が向いている会社
一方、次のような会社では、業務用複合機のメリットを得やすくなります。
- 毎月一定量以上の印刷を行う
- カラー資料を頻繁に出力する
- A3印刷や複数用紙の使い分けが必要
- コピー、FAX、スキャンを一台にまとめたい
- 複数の社員で機器を共有する
- 故障時の業務停止をできるだけ短くしたい
- インクやトナーの在庫管理を減らしたい
- 毎月の印刷コストを把握したい
比較すべきなのは購入価格ではなくTCO
印刷機器を選ぶときは、TCO(Total Cost of Ownership)、つまり保有期間中に発生する総コストで考えることが大切です。
概算するときは、次の費用を合計します。
本体購入費・リース料
+インク・トナー代
+ドラムなどの交換部品代
+修理・保守費用
+消耗品管理にかかる人件費
+故障による業務停止の損失
本体価格が安いプリンターでも、印刷枚数やカラー比率によっては、3年後、5年後の総コストが複合機を上回ることがあります。
反対に、印刷枚数が極端に少なければ、小型プリンターの方が安くなります。
大切なのは、最初からどちらかに決めるのではなく、実際の利用状況に合わせて計算することです。
まとめ
小型のインクジェットプリンターやレーザープリンターは、本体価格を抑えやすく、印刷枚数が少ない会社には適しています。
一方、印刷枚数が多い場合やカラー資料を頻繁に出力する場合は、インク・トナー代、交換作業、修理対応などが継続的に発生します。
カウンター保守契約付きの複合機は、本体価格だけを見ると高く感じられますが、トナー供給や訪問保守を含めて印刷コストを管理しやすく、故障時にも業務を止めにくいという安心感があります。
フレンドネットワークスでは、複合機を一方的におすすめするのではなく、現在の印刷枚数、カラー比率、インク・トナーの購入費、必要な機能などを確認したうえで比較します。


