UTMは本当に必要?できること・導入の判断基準を正直に解説
「サイバー攻撃が増えているので、UTMを導入した方がいい」
このような提案を受けたことはありませんか?
UTMは、企業のネットワークを守るうえで役立つセキュリティ機器です。しかし、導入すれば必ず安全になるわけではなく、すべての会社に必要とも限りません。
今回は、UTMで何ができるのか、どのような会社に必要性が高いのかを分かりやすく解説します。
UTMとは?
UTMは「Unified Threat Management」の略で、日本語では「統合脅威管理」と呼ばれます。
一般的には、インターネット回線と社内ネットワークの間に設置し、外部から届く不審な通信や、社内から危険なサイトへのアクセスなどを監視します。
従来は別々の機器やソフトで行っていた複数のセキュリティ対策を、一台にまとめて管理できるのが特徴です。IPAも、UTMをファイアウォール、IDS・IPS、メールフィルタリング、URLフィルタリングなどの機能を統合した製品と説明しています。ipa.go.jp
UTMでできること
製品や契約するライセンスによって異なりますが、代表的な機能は次のとおりです。
不正な通信を制限する
ファイアウォール機能によって、外部から社内ネットワークへ入ろうとする不審な通信を制御します。
必要な通信だけを通し、不要な通信を遮断することで、社内ネットワークの入口を守ります。
攻撃を検知・遮断する
IDS・IPS機能は、通信内容を監視し、サイバー攻撃と思われる動きを検知します。
IPSには、検知した不審な通信を自動的に遮断する機能もあります。ただし、正常な通信を誤って検知する場合もあるため、会社の利用状況に合わせた設定や運用が必要です。ipa.go.jp
危険なWebサイトへのアクセスを防ぐ
URLフィルタリング機能を使うと、ウイルス感染や詐欺につながる可能性があるWebサイトへのアクセスを制限できます。
業務に関係のないサイトや、情報漏洩につながりやすいサービスへのアクセスを制御できる製品もあります。
ウイルスなどの侵入を検査する
インターネットから受信するデータを確認し、既知のウイルスや不正プログラムを検知・遮断します。
パソコンごとのウイルス対策ソフトに加えて、ネットワークの入口でも確認できるため、防御を一段増やせます。
通信状況を記録・確認する
「どの端末が、いつ、どのような通信を行ったのか」を記録できる製品もあります。
異常が発生した際の原因調査や、不審な通信の早期発見に役立ちます。保守サービスと組み合わせれば、異常を検知した際に通知を受けられる場合もあります。
UTMを導入すると、何が安心なのか?
UTMを導入する大きなメリットは、社内ネットワークの入口に監視ポイントを設けられることです。
パソコン一台ごとの対策だけでは、設定漏れや更新忘れが発生する可能性があります。UTMを設置しておけば、インターネットを出入りする通信をまとめて確認し、既知の不審な通信や危険なアクセスを自動的に検知・遮断できます。
専任のIT担当者がいない中小企業にとって、複数のセキュリティ機能をまとめて管理できる点も安心材料になります。
UTMを入れておけば必ず安全?
残念ながら、UTMを導入しても「絶対に安全」とは言い切れません。
例えば、次のようなリスクはUTMだけでは十分に防げないことがあります。
- 従業員が偽メールにだまされ、IDやパスワードを入力する
- クラウドサービスのアカウントが乗っ取られる
- ソフトウェアの更新をせず、古い脆弱性が残っている
- USBメモリーなどからウイルスが持ち込まれる
- 外出先や自宅で使用するパソコンが感染する
- 従業員の操作ミスによって情報が漏洩する
- 新しい攻撃や未知のウイルスが使われる
UTMは万能な製品ではなく、あくまでセキュリティ対策の一つです。
パソコンのウイルス対策、OSやソフトウェアの更新、データのバックアップ、多要素認証、アクセス権限の管理、従業員教育などを組み合わせることが重要です。IPAも、組織の規模やリスクに合わせて複数の対策を組み合わせる「多層防御」の必要性を示しています。ipa.go.jp
また、UTMは設置するだけで終わりではありません。セキュリティライセンスの更新、ファームウェアの更新、ログや警告の確認など、導入後の運用も大切です。
UTMの必要性が高い会社
次のような会社では、UTMを導入するメリットが比較的大きいと考えられます。
- 顧客情報や個人情報、機密情報を扱っている
- 社内で複数台のパソコンを使用している
- NASやサーバー、複合機などがネットワークにつながっている
- メールやWebサイトを利用する従業員が多い
- リモートアクセスやVPNを利用している
- 専任のIT担当者がいない
- 取引先からセキュリティ対策を求められている
- 現在使用しているルーターやセキュリティ環境が分からない
特に、取引先の情報を預かっている会社では、自社だけの問題では済まない可能性があります。
自社の端末やメールアカウントが攻撃に利用されれば、取引先へ不審なメールが送信されたり、共有している情報が漏洩したりすることも考えられます。サイバー攻撃による影響が取引先やサプライチェーンへ広がることもあるため、セキュリティ対策は取引先への配慮や信用を守る取り組みでもあります。cyber.go.jp
すべての会社にUTMが必要とは限りません
一方で、必ずしもすべてのお客様が、すぐにUTMを導入しなければならないわけではありません。
例えば、使用している端末がごく少なく、すでに適切なファイアウォールや端末管理、クラウド側のセキュリティ対策が整っている場合は、現在の環境で十分なこともあります。
大切なのは、会社の規模だけで判断することではありません。
- どのような情報を扱っているか
- パソコンやネットワーク機器が何台あるか
- 現在どのような対策を行っているか
- 事故が起きた場合、誰に影響が及ぶか
- 導入費用に見合う効果があるか
これらを確認したうえで、必要性を判断することが大切です。
UTMを選ぶときの注意点
UTMを比較するときは、本体価格や月額料金だけで判断しないようにしましょう。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 利用人数や通信量に合った性能か
- 必要なセキュリティ機能が含まれているか
- ライセンス更新費用はいくらか
- 異常が発生したときに通知されるか
- ログを確認してもらえるサービスがあるか
- トラブル時に相談できる窓口があるか
- 契約期間や解約条件が適切か
性能が不足すると通信速度に影響する可能性があります。反対に、必要以上に高性能な製品を選べば、無駄な費用が発生します。
「とりあえず設置する」のではなく、導入後に誰がどのように管理するのかまで確認しましょう。
まとめ|必要性を確認してから導入しましょう
UTMは、社内ネットワークの入口で不審な通信を監視し、さまざまな脅威を検知・遮断するための有効なセキュリティ対策です。
しかし、UTMを入れればすべての攻撃を防げるわけではありません。また、現在の環境や事業内容によっては、導入を急ぐ必要がない場合もあります。
フレンドネットワークスでは、すべてのお客様にUTMをおすすめするという考え方ではありません。
まずは現在のネットワーク環境、使用している機器、扱っている情報、既存のセキュリティ対策を確認します。そのうえで、現在の対策で十分であれば、無理に新しい機器をおすすめすることはありません。
一方、UTMを導入することで明確にリスクを減らせる場合には、その理由と費用を分かりやすくご説明します。
お客様を大切な友人のように考えるからこそ、不要なものを無理に販売しない。必要なものだけを正直にご提案し、導入後もしっかりサポートすることが、フレンドネットワークスの基本姿勢です。
ネットワークやセキュリティについて気になることがございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
※UTMで利用できる機能や検知範囲は、製品、契約ライセンス、設定および運用方法によって異なります。


